近年、ビタミンDはさまざまな健康パワーが明らかになり、注目を集めています。日本人に不足しがちな栄養素であるビタミンDの優れた働きと、食事や習慣などからどう摂取すればいいのか、まとめました。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促して「骨を丈夫にする」、ウイルスや細菌に対して過剰な免疫反応を抑え「免疫機能を調整する」といった力で知られてきましたが、近年新たな働きをもつことがわかってきました。
その1)ビタミンDの認知症予防に期待
米国国立アルツハイマー病医療センターに登録された高齢者(認知症でない)を10年間追跡調査した結果、ビタミンDを摂取していた高齢者は摂取していない高齢者に比べて認知症の発症が最大40%少ないことが明らかになりました。ビタミンDの効果は、男性より女性に顕著に表れたといいます。
その2)ビタミンDで糖尿病リスクが低下
米国内科学会(ACP)によると、3年間の追跡調査で血中のビタミンD濃度の高い人は「2型糖尿病の発症リスクが低い」という結果が出たそうです。ビタミンDの補給により、糖尿病を予防したり、発症を遅らせたりする効果が期待できるとされています。
その3)ビタミンDが心臓病リスクを軽減
オーストラリアのメルボルン大学、シドニー大学などの研究では、ビタミンDを摂取している高齢者は摂取していない高齢者に比べて、心臓発作の発生率が19%低いことがわかりました。徳島大学循環器内科の心不全入院例においても、ビタミンD補給を受けた患者は非投与の患者と比べ、院内死亡率が低いと報告されています。
その4)ビタミンDがうつ病の予防に
近年、ビタミンDは心や神経に関わる脳内物質セロトニンをコントロールし、メンタルやうつ症状を調整することが明らかになっています。日本でも日照時間の短い冬は、「冬季うつ」という抑うつ症状の患者が増えていることがわかっています。
さまざまな力をもつビタミンDですが、脂溶性ビタミンであり、過剰摂取をすると健康障害が起こることもあります。食品から気軽に摂取できるので、サプリメントだけに頼らないようにしましょう。
■ビタミンDが多く含まれる食材
- きのこ類(きくらげ、乾燥しいたけ、まいたけ等)
- 魚介類(紅鮭、まいわし、あんこうの肝、しらす干し等)
- 卵類(鶏卵、うずらの卵等)
- 乳製品(牛乳、チーズ等)
ビタミンDの1日の摂取量は8.5㎍(マイクログラム)が目安ですが、日本人の摂取量はやや少ないため、バランスの良い食事に加えて日光浴もプラスしてはいかがでしょうか。夏場なら1日20分前後の日光浴をすれば、体内でビタミンDが生成できます。
ベランダや庭で日向ぼっこをしたり、運動がてら、太陽の下を歩いたりする時間をもち、体内でビタミンDを増やすのがおすすめです。
寒い冬は日差しも弱く、全身着こんでいて日光を感じられる機会が少ないもの。手や顔まわりだけでも意識的に日光にふれる時間をもって、心身共に元気な毎日を守りましょう。
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