食事の際はしっかり咀嚼して唾液を出すことで、消化を促したり、誤嚥(ごえん)を防いだりできます。また、口内の汚れを洗い流したり、口内の細菌の繁殖を抑えたりするなど、良いことがたくさんあります。さらに、唾液にはがんを抑制する力が期待できることも知られてきました。今回は唾液の健康パワーについてご紹介します。
同志社大学工学部の故・西岡一教授(当時)の研究によると「各種の発がん性の毒性は、人の唾液に30秒間つけるとほとんどが無効化される」との報告がされています。
唾液が発がん物質の毒性を抑えこむのは、サラサラとした唾液に含まれるペルオキシダーゼやカタラーゼなどの酵素の力によるものです。これは1991年の研究結果ですが、現在でも多くの歯科、歯科医師会などでこの考えに基づいて、唾液を出す咀嚼の大切さを説いています。
唾液には、サラサラとしたものとネバネバとしたものの2種類があります。ストレスや緊張を感じると、舌下腺などからネバネバとした唾液が分泌され、リラックスしていたり、食事をしていたりするときは、耳下腺などからサラサラとした唾液が分泌されます。
どちらの唾液も身体には必要ですが、サラサラとした唾液が多く出ることは、より健康的だといえます。
サラサラとした唾液をたくさん出すには、舌をよく動かすこと。舌を根元からぐるぐると回すように動かすなどして、口内の唾液線を刺激すると、唾液量を通常の2倍に増やせるといわれています。その他にも、以下のような方法がありますので、手軽にできるものからやってみましょう。
- よく噛んで食べる:
1口30回を目安として咀嚼するようにします。 - まめに水分を摂る:
1日コップ4〜5杯を目安に、こまめに水分補給をするようにしましょう。 - すっぱいものを食べる:
梅干しやレモンなどのすっぱいものを食べるようにします。また、ガムや飴などもおすすめです。 - 耳下線を刺激する:
耳を手でふさぐようにおき、手の平全体で前に向かってゆっくり回します。 - リラックスする:
ほっと一息ついたり、のんびり過ごしたり、心にゆとりをもちましょう。
日本人の死因トップであるがんは、近年の研究から遺伝よりも食事や生活習慣等が原因で発症する病という考えが主流になりつつあります。日々の食習慣に気をつけて、よく咀嚼したり、水分をまめに摂ったり、ちょっとしたことに気をつけることが、がん予防をはじめ、健康維持にもつながります。
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