亡くなった母が契約していた生命保険の手続きと、税金への影響について教えてください。
先月、入院していた母が亡くなり、実家の書類を整理していたところ生命保険の証券が2件分見つかりました。母の預金通帳や振込明細などと照らし合わせたところ、母本人が保険料を払っていたことが確認できました。それぞれの契約について、税金への影響やどのような手続きが必要か教えてください。なお、相続人は私と妹の2人であり、いずれも相続の放棄はしません。
契約@ | 契約A | |
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保険種類/保障内容 | 一時払終身保険 死亡保険金1,000万円 | 払込期間中無解約返戻金型終身医療保険 入院:日額 1万円 手術:1回 10万円 |
保険料払込方法・期間 | 一時払 | 月払・残2年 |
契約者(保険料負担者) | 母 | 母 |
被保険者 | 母 | 私 |
死亡保険金受取人・給付金受取人 | 私・妹 各50% | 私 |
一時払終身保険と無解約返戻金型終身医療保険で、それぞれ必要な手続きと税金への影響が異なります。詳細解説をご確認ください。
契約ごとに、必要な手続きと税金への影響について回答いたします。
終身保険は、被保険者が亡くなったときに死亡保険金が受取人に支払われる保険です。
【必要な手続き】
死亡保険金の請求が必要です。保険会社に被保険者であるお母様が亡くなったことを連絡し、所定の請求手続きを行います。保険会社によって手続き方法や必要添付書類が異なるため、保険会社の案内に従って進めることになります。
【税金への影響】
契約者が被保険者と同人の契約で受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象になります。この場合、受取人はお二方とも相続人であり、かつ、相続の放棄はしないとのことですので、死亡保険金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用することができます。
無解約返戻金型終身医療保険は、被保険者が入院や手術をしたときに給付金が支払われる保険です。当契約は無解約返戻金型のため、保険料払込期間中の解約返戻金がないタイプです。また、被保険者はお母様ではないため、お母様の入院に対して給付金等は発生しません。
当契約のように契約者(保険料負担者)と被保険者が別人の生命保険契約は、契約者が亡くなったときに、契約の権利を相続人が承継し、承継した人が以後の保険料払込の義務を負うことになります。
【必要な手続き】
契約者変更および保険料払込口座の変更が必要です。さらに、指定代理請求人の変更が必要な場合もあります。内容を確認の上、必要に応じて変更手続きを行います。なお、契約者変更は、被保険者だけでなく相続人全員の同意が必要です。同意など必要事項が整った手続き書類にもとづいて、保険会社が変更を承諾します。
また、相続人が複数いる場合は、相続人の中から代表者を選定し、代表者が保険会社に申し出て契約者変更の手続きを進めることになります。保険料払込中の契約は、亡くなった人の預金口座が凍結され保険料が引き落とし不能になる恐れがあります。保険料の未納状態が一定期間続くと保障効力を失いますので、ご注意ください。ご相談のケースでは、相続人はご相談者様と妹様の2名とのことですので、速やかに代表者の選定を行い、手続きを進めましょう。
【税金への影響】
相続税の計算において生命保険契約の権利は、解約返戻金相当額を評価額として他の財産と合算されます。当契約は、相続発生時、払込期間中で解約返戻金がない契約のため、権利の評価額は0円です。結果として税金への影響は発生しないこととなります。
相続が発生したときに生命保険に関する各種手続きが遅れてしまうと、後々、税金や保険契約の効力に影響を及ぼす可能性もあります。速やかに手続きを進めましょう。
相続発生時の生命保険に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。